コラム

『福祉部長のひとり言』(2)

~精神科医療「非自発的入院」から考えられること?①~

 

精神科病院で患者の手足などを固定する「身体拘束」が増加する中、日本精神神経学会など16の関連団体でつくる「精神保健従事者団体懇談会」が、2月5日、厚生労働省に要望書を提出したとのこと。

 

国立精神・神経医療研究センターによれば、国内の精神科病院で身体拘束を受けた患者は、3年前の6月時点で1万1300人を超え、15年間で2倍以上に増えている。

この要望書では「人員基準」が身体拘束増加の原因としているが、人員はかつての方が少なかったのだから、原因はそこにはないのではないかと思う。

 

15年前(2005年)と現在を比較して何がどう違うのか。まず、地域の社会資源についていえば、2005年当時は障がい者総合支援法以前で、精神障がい者対象の福祉事業は今よりもずっと少なかったし、訪問看護ステーションも診療所も少なかっただろう。精神科病院は今よりも病床数が多く、精神科救急病棟を届け出ている数はまだまだ少なかった。少ない人員基準の病棟が当たり前だったのだ。

 

2020年との比較は資料がないのでできないが、患者調査から2005年と2017年を比較すると入院患者は35.3万人から30.2万人と約5万人減り、そのうち統合失調症は4.5万人減っている。入院患者の年齢構成を見てみると、75歳以上は2005年9.7万人⇒2017年11.5万人(+1.8万人)、65歳~74歳はどちらも7.2万人で±0、25~64歳は17.6万人⇒10.9万人(▲6.7万人)である。

 

急性期治療病棟や救急病棟、認知症治療病棟などを届け出る病院が増えることで人員は充実し、そして入院患者数は減っているのに、身体拘束も隔離数も増えているのは何故なのか。人員配置だけではないことは明確であるように思える。すると、75歳以上の身体疾患を有した認知症患者が原因だろうか?

(つづく)

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