コラム

『福祉部長のひとり言』(39)

 

~改正精神保健福祉法~

年度末のバタバタに、診療報酬改定など、いわゆる「同時改定」があったりして、ずいぶんご無沙汰しております。花粉症が終わり、五月病の季節、みなさまいかがお過ごしでしょうか…。

 

今年度4月から、改正精神保健福祉法のうち、精神科病院における「虐待防止措置の義務化」「虐待通報の義務化」「入院者訪問事業」などが施行されました。何を今ごろ…、とも思いますが、人権への配慮が施策になってきつつあります。

ただ、この改正も病院の中だけの話ですし、「精神科特例」や医療保護入院制度の問題などは残されたままです。

 

精神保健福祉法は実質的に精神科医療関連の法律ですが、「国民の義務」を定めていることをご存じでしょうか。この法律の第三条には「(国民の義務)国民は、精神的健康の保持及び増進に努めるとともに、精神障害者に対する理解を深め、及び精神障害者がその障害を克服して社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加をしようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。」と書かれています。

「障害を克服」という言葉はノーマライゼーションの観点からも問題があると思いますし、「理解を深め」「協力するように努めなければならない」とあることについて、ほとんどの国民は知らないのではないでしょうか。国は国民に対し理解を深めるための施策を行っているでしょうか。

 

改正精神保健福祉法では、第一条に「この法律は、障害者基本法の基本的な理念にのっとり」と付け加えられました。その障害者基本法の理念は「この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念」とされています。

 

「障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有する」ことと、「障害を克服」は矛盾するのではないかと思いますし、国民の義務の前に、精神科特例など、差別的な医療制度を無くしていくことが国の義務なのではないかと思います。

高槻地域生活支援センターオアシス
〒569-0023 大阪府高槻市松川町25-5
TEL : 072-662-8130 FAX : 072-662-8131
E-mail : genki777@juno.ocn.ne.jp

お気軽に!

ページトップへ戻る

ページトップへ戻る