コラム

『福祉部長のひとり言』(28)

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東日本大震災から12年がたった。テレビニュースでコメンテーターの一人が「震災を知らない世代に語り継ぐことが課題」と言っていた。様々に「教訓」として残していくべきことはあろうが、「12年前のこと」と片付けられないことがある。いや東日本大震災はまだ「終わっていない」。

 

福島第一原発の事故で故郷に帰れない人達のこと。帰れないまま、別の土地で家を持てば補償が打ち切られること。メルトダウンしたデブリの取り出しは困難を極めている。廃炉への道筋が描けないまま、トリチウム水がたまり続けていること。除染で出たフレコンバックが積み上げられたままであること。森林は除染しようもなく、放射性物質の一部は樹木や土、水、動植物の間を循環し続けること。セシウム137の半減期は30年である。事故前の数値に戻るには300年かかる

 

子どもたち、そのまた子どもたちと何世代も持ち越しになるであろう、これらの問題をどう「語り継いでいく」かが問われている。

 

12年前、毎日のように報道されていた「ベクレル」や「シーベルト」。その意味も知らない子どもたちが増えていく中、老朽化した原発について60年超えても使用していくことが閣議決定された。閣議決定した人たち全員、60年後生きているものはおらず、責任など取りようもない。

 

子どもたちに「押し付け」ていかざるを得ない諸々について、少なくとも子どもたちと一緒に考え、意見を聞いてみることくらいはしたいものだ。

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