~不快な広告~
わが子は、デジタルネイティブ・SNSネイティブといわれるZ世代だ。かくいう私は、TVネイティブのX世代である。幼いころ、我が家のテレビに色がつき、1970~80年代の時代劇やアニメ、刑事ドラマの主題歌なんかは大抵歌える。
テレビというものは、同じチャンネルを見ていれば、隣の家でも同じ画面だ。私の明治生まれの祖母には、隣の家でも同じ人がテレビに映っているのが不思議だったようで、「あの人は何人おるんや」と質問を受けたことを思い出す。貧しい少女時代を過ごし、新聞も読めなかった祖母にとって、55歳を過ぎて初めて出会った「テレビ放送」の仕組みを理解するのは難しかったのだろう。
世代を超え、日本中がテレビを見ていたから、テレビCMには同時代性があった。「ブタブタ子ブタ、コイツに決めた」はワンタンメンで、「すぐおいしい、すごくおいしい」はチキンラーメン。多くの人が口ずさめるフレーズやキャッチコピーがあり、コマーシャルソングからはメガヒットがいくつも生まれていた。
2023年の現在、わが家ではテレビを見るのは、ほぼ私一人。一緒にテレビを見るのはリアルタイムのスポーツ観戦くらいだ。SNSネイティブである息子が目にしている広告はインスタやティックトック、オンラインゲームに貼り付けられた広告だろう。
日本の広告費の内訳をみるとテレビ・ラジオ・新聞などのマスメディアに係る広告費は2兆3,985億円、インターネット広告費は3兆912億円だ。圧倒的にネットメディアの方が多い。
私もスマートフォンを使用しているのだが、なんせ「不快な広告」が多い。テレビコマーシャルには見られない“詐欺じゃないの?”と思うようなものや、露骨かつ過激な “性的なもの”が突然出てくる。内容的に性的なものと関係のないサイトを開いたのに、いきなりアダルト系?とか出会い系の広告が出たりするし、ニュースサイトの一覧に「50代からの出会い」の広告が出てくる。私の年齢が漏れているのか…と不安になるし、うざい。
「毛穴の汚れゴッソリ」とか、「薄毛の悩み解消…」といった広告に出てくるショッキングな画像。「すぐに痩せる…」的な広告のセクシー画像など、息子のスマホにも出現しているのだろうか!?
今度息子に聞いてみよう。「そんな広告の消し方も知らんのか!」と、デジタルネイティブ君に馬鹿にされるかもしれんが…。