コラム

『福祉部長のひとり言』(4)

~精神科医療「非自発的入院」から考えられること?③~

 

「精神保健従事者団体懇談会」が、2月5日、厚生労働省に要望書を提出したというニュースから、身体拘束の増加の原因について、非自発的入院の増加と関連があるのではないかとの推論を書いた。

 

ではなぜ、15年前(2005年)と現在を比較して非自発的入院が増えたのか。これも推論でしかないが、地域の社会資源、特に診療所の増加が何かしらの影響を与えているのではないか。

 

 この15年で診療所数は倍増しているし、他科と同じく精神科も「紹介率」が求められてきた(加算もあった…)。いわゆる病診連携である。精神科病院の外来患者であれば入院しても主治医は変わらないし、なじみのPSWや看護師のいる病棟を選べるかもしれない。そう意味では、安心して入院しやすいかもしれない。

 

診療所の医師は病院を「紹介すること」までしかできない。患者も病院や主治医を選べるのかどうかわからない。

 

 国立精神・神経センターなどで共同意思決定(Shared decision making、以下:SDM)での医療が始められている。

 

SDMは医師と患者が責任を共有して話し合うのが大きな特徴で、「患者と医師(専門家)が対等な関係で治療内容の決定に“両者”が参加」→「治療における患者の主体的ゴールの共有」→「治療の選択肢などの情報の共有」→「治療の好みなどに関する議論」→「治療内容の決定」(山口創生氏:国立精神・神経医療研究センターの講演より)などを行う。

 

入院時にこそ「患者の意思」が反映されるようになれば、身体拘束は減少していくのではないかと思う

 

 2月20日の光愛学会での村上靖彦さんと増川ねてるさんの対話の中で「足場」についての話があった。熊谷晋一郎医師が「依存先を増やしていくことが、自立である」言っていると事や、安心できる「足場」を増やしていくことなどが話されていた。非自発的入院や隔離拘束は医療を「依存先」や「足場」にできなくするような制度だと思える。患者からみれば不安でしかない。むしろ恐怖体験かもしれないのに、安心できる足場にしていけるのだろうか。

 

 

 精神科医療制度&法律が「自立」の妨げになっているのであれば、これをどう変えてくことができるか。少なくとも医療保護入院の際にも三割の自己負担を求めるのはおかしいと思うのは私だけだろうか…。

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