コラム

『福祉部長のひとり言』(42)

 

~抱樸のホームレス支援とリカバリーと。~

 

今月20日・21日、ひょんなことから北九州にある認定NPO法人抱樸の事業を見学させていただく機会を得た。抱樸は北九州のホームレスを支援しようと1988年に「北九州越冬実行委員会」の活動に端を発し、炊き出しや見守り、住宅支援などを行いながら事業を拡げてきた。

抱樸の行っている活動を一言で言うと「家族の機能の社会化」だ。「出会いから看取りまで」、母体の一つである協会には納骨堂もあったから「供養まで」行っている。まさに「家族の機能」だ。

私たちが行っている精神医療福祉もそうだが、家族は医療や福祉に「つなげる役割」を担ってきた(医療保護入院も…)。保証人がいないと家も借りにくく、家族以外はなかなか保証人にはなってくれない。

「リカバリーを支える4つの柱」(右図)を

                      

増川ねてるさんに紹介していただいたが、ホームレスなど孤立している方々は、家(ホーム)がないことで、健康(ヘルス)につながらず、目的・目標(パーパス)、仲間・共同体(コミュニティ)も得にくい状況にあるだろう。

 

 現場を見ながら、抱樸の方々と話をしていく中で、まさにリカバリーの前提条件を支えている活動だと感じた。理事長の奥田さんは、抱樸の支援はハウスレス(=経済的困窮)支援だけではなく、ホームレス(=社会的孤立、希望・絆を失った状態への)支援なのだと。

 光愛学会で出会った夏苅郁子医師の言葉、「人は人を浴びて人になる」。中井久夫医師の臨床作法「希望を処方する」。人がリカバリーしていくには、人が必要不可欠なのだ。

 

(この文章を書いているのは7月26日、相模原の施設で障害者が虐殺された日だ。この事件の背景である「優生思想」。毎日のように行われるパレスチナでの虐殺。かつてナチスがヨーロッパで、日本が沖縄や北海道だけでなくアジアで行ってきた歴史と繋がっていく。ともすると私たちは、命に優劣をつけ、名前を奪うような行為を正当化する。私たちは殺された19人かもしれないし、傍観者として殺す側にいるのかもしれない。

自覚とともに、追悼の意を。)

 

認定NPO法人抱樸 https://www.houboku.net/

高槻地域生活支援センターオアシス
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