コラム

『福祉部長のひとり言』(15)

~「リカバリーの日本語訳」を考えてみる~

 

先日、法人内で行われているオンラインミーティング(RACTミーティング)で、法人外部顧問の増川ねてるさんから、リカバリーの日本語訳を「取り戻す」ではどうかという投げかけがあり、参加者でいろいろ考える機会になった。

 

「あなたにとってリカバリーとは?」という問いに対し、「障がいを持ちつつも楽しく生活すること」とか、「人生そのもの、生きている限り続くもの」とか、「普通に暮らしていけること」とか、当事者それぞれのアンサーがある。リカバリーが英語だからこそ答えやすいのかもしれない。

 

「取り戻す」になると、「人生を取り戻す」とか「普通の暮らしを取り戻す」とかの表現になり、病気などによって「奪われたもの」を取り戻す感じになるのではないか。

 

ねてるさんはリカバリーについて「SAMHSA‘s Working Definition of Recovery」Substance Abuse and Mental Health Services Administration2012を使って説明してくれる。リカバリー・変革の工程を支える4つの柱として、1.健康 2.家 3.目的・目標 4.仲間・コミュニティを据えている。

 

この4つの柱は、災害被災地の復興を支える要素と同じではないかと考えたりする。「復旧」ではなく「復興」。もとに戻すのではなく、町や生活を作っていくことだし、終わりのない「プロセス」そのものである。

 

リカバリーが復旧ではなく、復興だとすると、「取り戻す」でも良いが、「やり直す」とか「生きなおす」、いや「手に入れる」かな…。

リカバリーの訳語について、当事者・支援者など、様々な人たちで出し合う機会を作ってみたら、いろんな日本語訳に出会えるかもしれない。

うーん、私なら「描きなおす」かなぁ…。

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