~「センサリールーム」を考えてみる~
新聞に「センサリールーム」の記事があった。聴覚や視覚などに感覚過敏のある人たちに配慮した部屋や空間だ。国内では2019年に行われたJリーグの試合で導入され、女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)では常設化を検討しているとのことだ。
感覚過敏とは、視覚や聴覚、臭覚などの五感が受け取る刺激が過剰に感じられ、激しい苦痛やストレスに感じられる状態で、発達障害のある人に多く見られると言われている。サッカー界で導入されつつあるセンサリールームは、大声や鳴り物、光など、派手な演出を苦手とする人たちが観戦できるようにしていくための環境整備の一つだ。
英国ではロンドン五輪・パラリンピックを契機に環境整備が進められ、英サッカーのプレミアリーグでは20クラブ中、14クラブに導入されている。2017年からは百貨店やスーパーなどの商業施設でアナウンスやBGMを流さなかったり、照明を暗くしたりする「クワイエットアワー」を設けているとのことだ。
今年5月、国会で障害者虐待防止法が改正され、「合理的配慮」が民間事業者にも義務化されることになったが、施行期日は未定である。車いすの利用や盲導犬の入店なども「配慮されていない」ことについて報道されることもある中、センサリールームも「合理的配慮」として市民権を得られたら…と願う。
センサリールームは、すでに合理的配慮が義務付けられている公共施設、特に学校や公共交通機関への配備を進めるべきではないか。不登校などの減少につながるだろうし、地域共生社会の実現に向けて大きな一歩になるだろう。