コラム

『福祉部長のひとり言』(29)

滝山病院だけ?

 

今年の2月東京都八王子市の精神科病院・滝山病院で、入院患者に暴行した疑いで看護師が逮捕・略式起訴された。NHKの番組ETV特集で「ルポ 死亡退院 〜精神医療・闇の実態〜」この事件が報道され大きな話題となった。

 

この事件でも明らかになっているのが「受け入れ先のない患者」とされる存在だ。精神疾患があって、かつ慢性期の人口透析治療が必要な患者さんを受け入れる病院として、滝山病院は「頼られて」きた。そういう患者さんが「ずっといられる」病院なのだ。報道で明らかになっているが、この病院では生活保護の比率がかなり高い。そして、「一般病院」の治療費に比して精神科病院の治療費は、極端に安価だ。

 

厚労省は医療のデータ化を進めてきている。透析を生涯続けざるを得ない慢性期の患者の行先は、行政は把握していたに違いない。

番組では「必要悪」という言葉が使われていたが、本当にそうか。障害者差別解消法を進める行政こそが、健常者の透析患者と知的障害や精神障害を持つ透析患者の治療費に差があることをネグレクトしてきたのではないか。

「必要悪」を生み出し、放置し、頼っているのは誰か。必要悪は「滝山病院だけ」ではないのだろう。

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