コラム

『福祉部長のひとり言』(30)

障害を克服!

 

日本が2014年に批准した障害者権利条約には、障害の定義がない。「障害が発展する概念である」とし、障害というのは、環境による障壁、まわりの人たちの態度などによって変わりうるものだとしている。そして、障害を、その当事者個人の心身の問題とする「医学モデル」ではなく、社会との関係で考える「社会モデル」としてとらえている。

この条約を批准するのに先駆けて成立した障害者差別解消法も社会モデルの考え方が取り入れられ、「社会の側」に合理的配慮を求めている。

 

しかし、各障害分野での法律はどうかというと…

 

精神保健福祉法(国民の義務)第三条 国民は、精神的健康の保持及び増進に努めるとともに、精神障害者に対する理解を深め、及び精神障害者がその障害を克服して社会復帰をし、自立と社会経済活動への参加をしようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。

 

身体障害者福祉法(自立への努力及び機会の確保)第二条 すべて身体障害者は、自ら進んでその障害を克服し、その有する能力を活用することにより、社会経済活動に参加することができるように努めなければならない。

 

知的障害者福祉法(自立への努力及び機会の確保)第一条の二 すべての知的障害者は、その有する能力を活用することにより、進んで社会経済活動に参加するよう努めなければならない。

 

精神と身体の福祉法では、明確に「障害を克服」するよう努めよとしている。こんなところで「医学モデル」での自立を求めていることについて、あまり問題されていない。ノーマライゼーションと社会モデルを前提とした法律の改正を求めたいと思うのだが。

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