コラム

『福祉部長のひとり言』(33)

「マイクロアグレッション」って何?

 

最近読んだ本、「ソーシャルジャスティス 小児精神科医、社会を診る (文春新書) 」の中で、「マイクロアグレッション」について書かれていた。

 

マイクロアグレッション、日本語では「微小な攻撃」かな。ウィキペディアでは、「1970年にアメリカの精神医学者であるチェスター・ピアスによって提唱された、意図的か否かにかかわらず、政治的文化的に疎外された集団に対する何気ない日常の中で行われる言動に現れる偏見や差別に基づく見下しや侮辱、否定的な態度のこと」書かれている。

いろいろなサイトをみたが、「障害があるのに頑張っているね」とか、日本で生まれ育った黒人の人に対して「日本語お上手ですね」など、性や文化、民族、国籍などに関する例が上がっている。

 

日本財団のサイトで大東文化大学文学部特任教授の渡辺雅之さんという方がわかりやすく定義していた。[日頃から心の中に潜んでいるものであり、口にした本人に「誰かを差別したり、傷つけたりする意図」があるなしとは関係なく、対象になった人やグループを軽視したり侮辱するような敵対・中傷・否定のメッセージを含んでおり、それゆえに受け手の心にダメージを与える言動]ポイントは相手を傷つける意図があるかないかではなく、傷つけようとしていない、むしろ褒めようとして行われることもあるということ。

 

私の子どもの友人で、アフリカ系アメリカ人がいる。小学生時代に息子が所属していた近所のサッカーチームに同行した際に、コーチから「やっぱ黒人は足が速いな」と言われたようだ。「黒人だから足が速いのじゃなくて、俺が速いんだよ」と怒っていた。

 

世の中には偏見や差別はあるし、私たちも同じだ。自分の所属する集団の文化や経験に当てはめて発言してしまうことはままある。それが、言われた誰かに、もやもやっとした違和感や不快感を与えてしまう。

そういった先入観に基づいた行為は、偏見による行為の土台になり、そしてヘイトスピーチ、ヘイトクライムに育っていく。

 

津久井やまゆり園事件のような障害者虐殺事件の土台も、私たちの中にあることを忘れないようにしたい。

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