コラム

『福祉部長のひとり言』(22)

「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」 

 

現在、厚生労働省で「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」が行われ、(1)精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築、(2)地域精神保健医療福祉体制、(3)入院中の患者の意思決定支援や権利擁護の取組、が検討されている。  

3月に行われた3月中旬の検討会に示した資料で、精神科病院の医師が家族らの同意を得て患者を強制的に入院させる「医療保護入院」制度について、「基本的には将来的な廃止も視野に、縮小に向け検討」としていたが、4月15日に行われた検討会では、「将来的な廃止」との文言を削除した。 

  

医療保護入院は、日本独自の制度で、以前は韓国にも同様の入院形態はあったが、2016年に違憲判決が下り廃止されたという。国際的に日本でいうと「措置入院」のような行政が行う強制入院はまだ存在するが、これもアイルランドやオーストラリアなど人権保護の意識から廃止されつつある。 

  

 厚労省は「現在いる患者が入院できなくなるといった誤解が生じないよう、表現を明確化した」とのことだが、「将来的」にはどうなのか。 

「日本だけ」の入院形態、他の国に類を見ない病床数、隔離拘束の多さ。 

 

「将来的な廃止」以外の選択肢があるとは思えない。“自分の意思に反して入院させられる制度”を存続させて、「地域で安心して暮らせる」とは言えないだろう。 

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